庭鳥にわとり)” の例文
HはS村の伯父おじを尋ねに、Nさんはまた同じ村の籠屋かごや庭鳥にわとりを伏せる籠を註文ちゅうもんしにそれぞれ足を運んでいたのだった。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
傘が触って入口ののきに竿を横たえて懸けつるしてあった玉蜀黍とうもろこし一把いちわをバタリと落した途端に、土間の隅のうすのあたりにかがんでいたらしい白い庭鳥にわとりが二
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
庭鳥にわとりじゃアない、猫の蹴合いをお見せ申すにはまだ差し支えはございません。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
或風のない春の日の暮、書生はふと外へ出て見ると、何かこの若い女のののしっている声が聞えました。それはまたどこかの庭鳥にわとりがのんびりとときを作っているなかに、如何いかにも物ものしく聞えるのです。
女仙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)