床上ゆかうえ)” の例文
本陣の奥座敷では床上ゆかうえがもり、袋戸棚ふくろとだなへも雨が落ちた。半蔵は自分の家のことよりも村方を心配して、また町内を見回るために急いでしたくした。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼は直ぐそこを飛び出すと、次の五番浴室に闖入ちんにゅうした。そこには派手な千鳥の衣類が花をいたように床上ゆかうえ散乱さんらんしていた。格闘があったのに違いない。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
三人の男共を指揮して、数時間豪雨の音も忘れるまで活動した結果、牛舎には床上ゆかうえ更に五寸の仮床かりゆかを造り得た。かくて二十頭の牛は水上五寸の架床かしょう上に争うて安臥あんがするのであった。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
苦しいうめき声とともに、監視の警官が、ドサリと床上ゆかうえに人形のように転がった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)