しで)” の例文
彼女はあごで差し招くと、供の侍は麻のしでをかけたさかきの枝を白木の三宝に乗せて、うやうやしく捧げ出して来た。玉藻はしずかにその枝を把って、眼をとじて祈り始めた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今では紙のしでを附けるもあれば、略するもある。喪主の玉串丈けを稍〻大きくする風はあるが、會葬者一同殆と生前何の懇親もなかつた者迄が出しやばつて、これを柩前に捧げる事になつて居る。
幽霊思想の変遷 (旧字旧仮名) / 柳田国男(著)