常規じょうき)” の例文
今の一部の小説が人にきらわれるは、自然主義そのものの欠点でなく取扱う同派の文学者の失敗で、畢竟ひっきょう過去の極端なるローマン主義の反動であります。反動は正動よりも常規じょうきを逸する。
教育と文芸 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
守青年は品子の父と同じ様な意見を述べたが、それは相手を安心させる口先ばかりであって、内心ではある恐ろしい疑いをいだいていた。けたはずれの悪魔を、常規じょうきで律することは出来ない。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
何という不思議な取合せ、常規じょうきを逸した光景であったろう。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
従って誰も彼も、立居振舞たちいふるまい常規じょうきいっしています。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)