帆足万里ほあしばんり)” の例文
帆足万里ほあしばんりはかつて留守居をののしって、国財をし私腹を肥やすものとした。この職におるものは、あるいは多く私財を蓄えたかも知れない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
行李こうりの底から、帆足万里ほあしばんりの書いた小さいじくを出して、壁へ掛けた。これは先年帰省した時、装飾用のためにわざわざ持って来たものである。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
兄弟問答又当時世間一般の事であるが、学問とえば漢学ばかり、私の兄も勿論もちろん漢学一方いっぽうの人で、ただ他の学者と違うのは、豊後ぶんご帆足万里ほあしばんり先生のりゅうんで、数学を学んで居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
小川をとり入れた小さい池も、伯父が自分でったらしい梅里庵ばいりあんという篆字てんじの額も、すべての風物が珍しかった。帆足万里ほあしばんりじくの前にすわって、伯父は今の生活の心安さを色々と話してくれた。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)