巻尺まきじゃく)” の例文
旧字:卷尺
火炉かろのむしろに腰をかけて、仲よしの二人は久しぶりに向きあった。東京から買って来たお土産の分度器ぶんどき巻尺まきじゃくが五助をたいへんよろこばせた。
雪魔 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
クニ子は隣りとの境界の朝顔の垣のそばで片手に巻尺まきじゃくを持ったまま相好をくずしてこちらへ猫まねきをし
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
ぐ又紙と鉛筆と巻尺まきじゃくを持って戻って来、ママに話したら、靴を借りるよりもエツコさんの足の大きさを測って来た方がよいと云われたので、測りに来たと云い
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼は用意周到にいつも携帯している巻尺まきじゃくを取出して、負傷者の倒れていた地位(それは血痕などで分った)足跡の歩幅、来る時と帰る時の足跡の間隔、洋館の間取、窓の位置
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「それはほかでもない、わしが持っていた長さ五十メートルの長い巻尺まきじゃくじゃ」
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)