巴屋ともえや)” の例文
野幇間のだいこを稼業のようにしている巴屋ともえや七平は、血のような赤酒をがせて、少し光沢つやのよくなったひたいを、ピタピタと叩くのです。
蟠「うちじゃア話が出来ないから、今に舎弟が帰るから亀井戸の巴屋ともえやで一杯やって吉原へこう」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
茶屋と妓楼ぎろうの軒下を例の通り忍びやかに歩いて、巴屋ともえやの前へ来ると立ち止まりました。そこで、彼が巴屋の暖簾のれんを押分けて入ってしまったきり、出て来ないのは不思議です。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
年配の巴屋ともえや五助が、采配をってお勢の家へ人を走らせたり、町役人に届けさせたり、一方家中の者の口を封じて、無制限に拡がって行く危険な噂の伝播でんぱを防ぎましたが
向うから前橋まえばし竪町たつまち商人あきんどが江戸へ商用で出て来て、其の晩亀戸かめいど巴屋ともえやで友達と一緒に一杯飲んで、おりを下げていたが酔っているから振り落して仕舞って、九五縄くごなわばかり提げ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうそう、広小路に巴屋ともえやという飛んでもない大きな水茶屋が出来たことを知ってますか」
又例の亀井戸の巴屋ともえやゆっくり話を致しましょう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巴屋ともえやのお六よ、忘れたじゃ済まないでしょう。家は、大変な騒ぎ」
「すると、お秀を殺す気になるのは、いい歳をしているくせに、お秀をなんとかしようと思っている巴屋ともえやの五助と、お秀にひどくはじかれた菊次郎と、この二人のうちということになりはしませんか」
お嬢さんは、巴屋ともえやの一人娘でしょう。