左兵衛佐さひょうえのすけ)” の例文
万が一にも、赤穂の浪人共のために、不慮ふりょやいばでもむくわれたなら、左兵衛佐さひょうえのすけは、何うなりましょうか。吉良家は、安泰に続きましょうか。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やはり伊勢殿のお差図さしずで、いま西の陣一方の旗がしら、左兵衛佐さひょうえのすけ殿(斯波義廉よしかど)が渋川家より入って嗣がれましたが、右兵衛さまとしてみれば御家督に未練もあり意地もおありのことは理の当然
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
次いで同じ月の六日に、幕府はおん医師即ち官医中有志のものは「阿蘭オランダ医術兼学いたし候とも不苦くるしからず候」と令した。翌日また有馬左兵衛佐さひょうえのすけ道純みちずみ家来竹内玄同たけうちげんどう、徳川賢吉けんきち家来伊東貫斎かんさいが奥医師を命ぜられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
蒲焼屋の男が、とたんに、ぺたッと坐ってしまったのは、もしやこの人が、上野介の嫡男ちゃくなん左兵衛佐さひょうえのすけではあるまいか、とすぐ感じたからであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やはり伊勢殿のお差図さしずで、いま西の陣一方の旗がしら、左兵衛佐さひょうえのすけ殿(斯波義廉よしかど)が渋川家より入つて嗣がれましたが、右兵衛さまとしてみれば御家督に未練もあり意地もおありのことは理の当然
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
父の側にいて、父を護る覚悟でいた左兵衛佐さひょうえのすけは、却って、父に護られている心地がした。そういう父の落着ぶりをながめてから彼もやや心がすわった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さるを保延ほうえんのころ、海賊兵二十人ほどからめ捕った恩賞に、四位の左兵衛佐さひょうえのすけとなったのですら、その当時、人は過分なと沙汰してあったに、その後は、とんとん拍子に、殿上のまじわりもなり
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)