巣山すやま)” の例文
この時代に巣山すやま留山とめやま明山あきやまの区別ができ、入山いりやま伐木を人民の自由に許した明山たりとも五種の禁止木の制を立て、そのかわりに木租の上納は廃された。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
嘉門の領地から遁れ出たものは、相当おびただしい数と見え、この一角から遥か離れた、巣山すやま明山あきやまの中腹を、福島の方へ行くらしい、たいまつの火が点々と見えた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とび巣山すやま初陣ういじんを自慢の大久保彦左ひこざがあとにも先にもたった一度んだという句に
その野末を、船着山ふなつきやまの連山がかこみ、とび巣山すやまも、そのうちの一峰であった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この地方には巣山すやま留山とめやま明山あきやまの区別があって、巣山と留山とは絶対に村民の立ち入ることを許されない森林地帯であり、明山のみが自由林とされていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
巣山すやま留山とめやま明山あきやまの区別は初めてその時にできた。巣山と留山とは絶対に人民のはいることを許さない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
巣山すやま明山あきやまの差別、無智な人民の盗伐などは、三吉も聞知っていることであるが、なお森彦は地方を代表して上京したそもそもから、しまいには一文の手宛てあてをも受けず
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
当時の木曾山一帯を支配するものは尾張藩おわりはんで、巣山すやま留山とめやま明山あきやまの区域を設け、そのうち明山のみは自由林であっても、許可なしに村民が五木を伐採することは禁じられてあった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)