峰巒ほうらん)” の例文
白骨の温泉場は谷底のようなところですけれども、見上ぐるところの峰巒ほうらんに、それぞれの風景を見られないということはありません。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
西北から東北にかけては上野州の平原を隔てて浅間山から日光火山群に至る幾十の峰巒ほうらんを指点し得る筈であるが、今日は雲が多いので何一つ見えない。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
先づ初め、層々と聳えてゐる峰巒ほうらんすがたが現れた。その山が尽きる辺から、落葉し尽くした疎林が淡々と、浮かんでゐる。疎林の間には一筋の小径が、遥々と遠く続いてゐる。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
其頂上から北を望むと、正面に黒木の茂った余り高低のない一連の峰巒ほうらんが見える。左の低い笹原が秩父の所謂いわゆる雁峠で、一ノ瀬では燕ダルミまたは笠取峠と唱えている。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
ず初め、層々とそびえている峰巒ほうらんすがたが現れた。その山が尽きる辺から、落葉し尽くした疎林そりんが淡々と、浮かんでいる。疎林の間には一筋の小径こみちが、遥々はるばると遠く続いている。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
峠を少し北に下った所から破風山、雁坂山、古礼山、袴腰山、次で其東に黒木の繁った幾多の峰巒ほうらんが見えた。其中の一つが目指す唐松尾であるに相違ないがどれが夫であるかは知ろう筈がない。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)