山塞さんさい)” の例文
その山塞さんさいは、上から下までひびだらけでした。そのずれたわれ目から、大がらす小がらすがとびまわっていました。
四馬剣尺しばけんじゃくが、どっかと腰をかけた頭目台とうもくだいの前へいって、この山塞さんさいの番頭格の木戸が、うらみつらみをのべたてた。木戸は、よほど骨を折ったものと見える。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あの山塞さんさいをどうして脱出したろう、どうして生贄にならずに済んだろう、それともあれは何も彼も夢か。
其角と山賊と殿様 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
お筆とお兼を丹沢山の山塞さんさいにおくってやり、天魔太郎はあらためて妹の月子、泉田筑後の娘お千代、小僧の虎吉、野州の熊五郎をあつめて、これからさきの活動のことを相談しました。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
馬賊達は、山塞さんさいでさつそく、お祝ひの酒盛りを夜更よふけまで賑やかにやりました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
辻俥つじぐるま蹴込けこみへ、ドンと積んで、山塞さんさいの中坂を乗下ろし、三崎ちょうの原を切って、水道橋から壱岐殿坂いきどのざかへ、ありゃありゃと、俥夫くるまやと矢声を合わせ、切通きりどおしあたりになると、社中随一のハイカラで
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これ山窩の伝令法、瞬く間に山塞さんさいまで、非常の知らせが達するだろう。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし、さいわい、仙場甲二郎の注進ちゅうしんによって、山塞さんさいのなかは大騒ぎになった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それ山塞さんさいへ連れて行け!」「素的な獲物だ、素晴らしい土産だ!」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山窩の山塞さんさいへ案内しろ
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ごったがえす山塞さんさい
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)