居直いなお)” の例文
Kはぴたりとそこへ立ちまったまま動きません。彼は地面の上を見詰めています。私は思わずぎょっとしました。私にはKがその刹那せつな居直いなおり強盗のごとく感ぜられたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
道理こそ、人の目と、そのはし打撞ぶつかりそうなのに驚きもしない、と見るうちに、ふまえてとまった小さな脚がひょいと片脚、幾度も下へ離れてすべりかかると、その時はビクリと居直いなおる。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
矢野はからだを起こし居直いなおって
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と呼んで、居直いなおつて
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)