小競合こぜりあ)” の例文
追撃の小競合こぜりあいはそこにもここにもあった。そのうちに放火もすこし下火になって、二十日の夜の五つ時の空には地上を照らす月代つきしろとてもない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この間、島の土人達と、幾度か小競合こぜりあいが行なわれたが、とても彼らに敵すべくもない。間もなく完全にチブロン島は彼らの手中に帰することになった。
相互の士馬軍略をきそうこと、大戦三、四度、小競合こぜりあいに至っては、幾十回というを知らず、天下の物わらい、百姓の難儀、このたびこそはこころよく一大合戦を遂げて
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二葉亭を中心としての一家の小競合こぜりあいは絶間たえまがなくてバンコと苦情を聴かされた。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
応仁おうにんの乱は細川勝元、山名宗全の両頭目の死によって一時、中央では小康を得たようなものの、戦禍せんかはかえって四方へき散された形となって、今度は地方地方で小競合こぜりあいが始まりました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
たぶん田舎の小大名相手の小競合こぜりあいや火事ドロ的合戦の時の話であろう。
二人は自分の憤懣ふんまんを隠すことができないで、ことにジョルジュはそうで、つぎに出会うとすぐに激しい小競合こぜりあいをやった。しかし軽い傷しかつかなかった。たがいに相手を害するのを恐れていた。