寺詣てらまい)” の例文
御彼岸おひがんにお寺詣てらまいりをして偶然方丈ほうじょう牡丹餅ぼたもちの御馳走になるような者だ。金田君はどんな事を客人に依頼するかなと、椽の下から耳を澄して聞いている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は牛込には先祖の寺があるから時々寺詣てらまいりには行く。そのほかどこで出会わぬとも言わぬ。会ったら悪い顔をしないで、普通に挨拶くらいは互にしよう。
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
親たちはたいていズズダマとっていたようだが、私などは寺詣てらまいりの爺媼じじばばの手首にける数珠じゅずと同じものと思って、みなはっきりとジュズダマと呼んでいた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そうしてからまた、明後日あさってのお寺詣てらまいりに着て行く、自分の襦袢の襟をつけにかかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
牛込の奥に菩提寺ぼだいじがあるんですから、きっとお寺詣てらまいりにでも行ったんでしょうが、変なものですねえ。
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
すると、そこへ女の母親が、寺詣てらまいりでもするらしい巾着きんちゃくをさげて入って来た。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)