家筋いえすじ)” の例文
摂州川辺かわべ郡東富松の部落においては、すでに茨木童子の家筋いえすじは絶えたかわりに、更に一段と心を動かすべき物語が残っていた。『摂陽群談せつようぐんだん』巻十に曰う。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「申しちゃ失礼でございますが、隠密役なんていう方は、平常ふだんは何の御用もねえでしょうに、これだけの家筋いえすじをそれぞれ立てておく将軍様の世帯も、大きなもんじゃありませんか」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを統一するためにまわり神主かんぬし、または宮座頭屋みやざとうやというかたい約束がむすばれ、あるいは世襲神職せしゅうしんしょく家筋いえすじというものが定められたのであるが、これがまた二つとも
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
京都で名物の大原おはら北山きたやま柴売女しばうりおんなをべつにすると、だいたいにこの風習は海近くの村里むらざと、ことにうおなどを売りあるく婦人にばかり多いので、なにか職業や家筋いえすじにむすびついた特別の技術のように
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)