家婦かふ)” の例文
たゞの家婦かふでならと云ふ条件で漸く承諾したことなど、幾が知り抜いてゐるのに甘んじて来るのは、それで自分の肩身を広くしようと云ふ腹があつてのことだと
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
すなわち家婦かふにんにして、昼夜のべつなく糸をつむ木綿もめんを織り、およそ一婦人、世帯せたいかたわらに、十日のろうを以て百五十目の綿を一反の木綿に織上おりあぐれば、三百目の綿に交易こうえきすべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
妻という言葉をきいたとき、龍之介は、柔らかいもので身体からだをつつまれるような気がした。実際、彼女が、彼の脱ぎすてたくしゃくしゃの衣類を整理しているところは、どう見ても家婦かふだった。
謎の女 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)