実否じっぷ)” の例文
旧字:實否
彼はその実否じっぷを確かめるために、今夜こそは小町の水の近所へ忍んで、怪しい光りを放っていく女の正体を見定めようと決心した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
不義、毒殺、たとえば父子、夫妻、最親至愛の間においても、その実否じっぷを正すべく、これを口にすべからざるていの条件をもって、咄嗟とっさらい発して、河野家の家庭を襲ったのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
糟屋甚七、古河市五郎の二人は、すぐに多々良村へ出向いてその実否じっぷを詮議すると、その風説に間違いはないと判った。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
致華はその話を聞いて、試みに供の者を走らせて実否じっぷを見とどけさせると、果たしてそれは事実であると判った。
その実否じっぷを確かめることは出来なかったが、怪しい死を遂げた美しい尼僧は、だれが言い出したともなしに、狸尼の名をかぶせられてしまって、雪の深いその年の冬にも
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
兄もおたなをしくじるのは知れていますから、母はすぐに支度をして、京橋の店へその実否じっぷをただしに行くことになりまして、慌てて着物を着かえているうちに、俄かに持病が起りました。
蜘蛛の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)