宏荘こうそう)” の例文
しかし、すみをたくさんうだけの資力しりょくのないものはどうしたらいいか、それよりしかたはないのだ。近所きんじょに、宏荘こうそう住宅じゅうたくはそびえている。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
院の御殿は南に淀川、東に水無瀬川の水をひかえ、この二つの川の交わる一角にって何万坪という宏荘こうそうな庭園を擁していたにちがいない。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それは宏荘こうそうとまでは行かずとも、相当の構えの家であり、もちろん私の借家とは雲泥の差があった。
御萩と七種粥 (新字新仮名) / 河上肇(著)
関ヶ原のえき以来と云う菅野の家は宏荘こうそうな一郭を成していて、持仏堂の堂宇が、中庭を隔てて母屋と棟を並べていたこと、こけ蒸した泉石の彼方かなたに裏庭の菜園がつづいており
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし村での大地主で、家の構えなどもそのあたりでは宏荘こうそうなものに見えていたのである。
御萩と七種粥 (新字新仮名) / 河上肇(著)