をは)” の例文
さう云ふことばがまだをはらない中に、蛇の頭がぶつけるやうにのびたかと思ふと、この雄辯なる蛙は、見るにその口にくはへられた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「如何でござるな。」郎等の話を聞きをはると、利仁は五位を見て、得意らしく云つた。「利仁には、けものも使はれ申すわ。」
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
五位のことばをはらない中に、誰かが、嘲笑あざわらつた。さびのある、鷹揚おうやうな、武人らしい声である。五位は、猫背の首を挙げて、臆病らしく、その人の方を見た。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それから、先の事は、あらゆるこの種類の話のやうに、至極、円満にをはつてゐる。すなはち、牛商人は、首尾よく、煙草と云ふ名を、云ひあてて、悪魔に鼻をあかさせた。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
悪魔は、とうとう、数日の中に、畑打ちををはつて、耳の中の種を、そのうねいた。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)