嬌瞋きょうしん)” の例文
あの人が嬌瞋きょうしんを発して、喜田川三郎氏に涙乍ら訴えると、実業界であんなに鳴らした喜田川三郎氏は、全く海月くらげのようになってしまうのも有名な事でありました。
柳眉りゅうびをキリキリと釣り上げて、『騒々しいねえ』と嬌瞋きょうしんをいただくわけのものでもなし、人間は至極柔和に出来ていらっしゃるに、無類のお話好きとおいでなさる。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
馴々なれなれしくて犯しやすからぬ品のいい、いかなることにもいざとなれば驚くに足らぬという身にこたえのあるといったような風の婦人おんな、かく嬌瞋きょうしんを発してはきっといいことはあるまい
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)