嬌名けうめい)” の例文
かつて上野から下谷へかけて、一代の嬌名けうめいを馳せた美女が、さながら藍隈あゐくまを取つた鬼女の姿に變貌して居るのです。
婀娜あだたる容姿は陽春三月の桜花をして艶を失はしめ、腕のすごさは厳冬半夜のお月様をしておもておほはしめたり、新橋両畔の美形雲の如き間に立ちて、独り嬌名けうめいもつぱらにせる新春野屋の花吉が
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
昔は芳町あたりで嬌名けうめいを走せたことがあると言はれ、お園が小唄の師匠として一本立になつてからは、その蔭に隱れて、お園の成功に大きな役目を果してゐた母親だつたのです。
一代の嬌名けうめいうたはれた、美女お仙の茶屋は、明和の頃の谷中の名物であり、それより古くは、感應院門前のいろは茶屋が、軒を並べて僧俗の客を呼んだこともあり、やゝ下つては、一代の美僧日當が