いらつめ)” の例文
じぶんにとつて第一の王子である高市たけちを立派に生みおとしたあと暫くのあひだ、あの尼子ノいらつめの顔にやどつてゐた表情ではないか。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
七つになる次女の五百里いほへいらつめが結句それをいいことにして、乳母の今刀自いまとじと一緒になつて、次から次へ色んな口真似をさせて笑ひころげるのだつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
母は例の倉田山ノ石川麻呂のむすめ遠智おちいらつめで、ここにも蘇我の血は濃くながれてゐるわけだつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
つまり王女の腹からは氷上ひかみいらつめが生まれ、それ以来王女はかうして中臣氏の正室として、鎌足をして後顧こうこの患ひなからしめることに依つて、太子の内政の上にも少なからぬ貢献をしてゐるからである。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)