妙味みょうみ)” の例文
本当に沈着ちんちゃくな花です。思い切って、一度にぱっと開くことの出来ない花です。梅の花の妙味みょうみはそこにあるのだと思います。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ここに実に奥深い自然の妙味みょうみがあるので、それですから我々はまずそのような自然のはたらきがどう起るかを研究し、それを知らなければなりません。
ロバート・ボイル (新字新仮名) / 石原純(著)
などゝ云う冷罵れいばを、店員どもに浴びせられながら、一種の反抗心を以てひもといたようなものゝ、己には実際、の有名なる戯曲ぎきょく妙味みょうみが、何処どこにあるのやら分らなかった。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
僕は人生の妙味みょうみとか真の幸福とかを重く思うから、むしろやわらかく握って、すなわち自分は引っ込む態度でなるべく人に譲るをもって人生の真味を味わい得るものと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)