女郎むすめ)” の例文
山のなかばまで往ったところで、矢の音がした。陳は足を止めて耳をすました。と、馬の跫音がして二人の女郎むすめが駿馬に乗って駈けてきた。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
元豊は馬でそのへいの外を通っていたが、中から笑い声が聞えるので、馬をとどめ、従者にくらをしっかり捉えさしてその上にあがって見た。そこには二人の女郎むすめが戯れていた。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ある日かくは一人で郊外に遊びにいっていたところで、十五、六に見える一人の女郎むすめに遇った。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
すると二三人の侍女がはしって往ったが、ちょっと手間を取ってから、一人の老婆が女郎むすめをつれて出てきた。それは年のころが十六七で、その麗わしいことはたぐいのない麗しさであった。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
見ると車のとばりが開いていて、内に十六七の女郎むすめがすわっていたが、紅く化粧をした顔の麗しいことは、今まで見たことのない美しさであったから、方棟はふらふらとなって我を忘れ
瞳人語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そっと起きてのぞいてみると、三、四人の女郎むすめが地べたへ敷物を敷いて坐り、やはり三、四人のじょちゅうがその前に酒と肴をならべていた。女は皆すぐれて美しい容色きりょうをしていた。一人の女がいった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
間もなく紅い装束した数人の女が一人の女郎むすめいてきて、亭に入って腰をかけた。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ある日、景がみちを歩いていると、一人の女郎むすめあかい衣服を着て、たくさんの下男をれ、黒いろばに乗って来るのを見た。それを見ると阿霞であった。そこで景は伴をしている下男の一人に訊いた。
阿霞 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)