契丹きったん)” の例文
ここの家は、五代の末期、そうの太祖の時代に地方へりたもので、祖先の柴世祖さいせいそは、帝位にあった幼君だった。時に契丹きったんとの大戦あり。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次いで宋の時代になっても、北辺の蒙古民族契丹きったんの国ははなはだ強大であって、西方からシナを呼ぶに Kitai→Cathay をもってせしめるほどであった。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
これが盛んになったのがかの匈奴となり、契丹きったんとなり、金、元となったものと思われる。そういう訳で、秩序が立たぬ。それ故に文明が進歩せぬ。人文が発達しない。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
契丹きったんのまさに亡びんとする時、或る者はその神体が城外へ走るのを見て、おどろき怪しんで早速に参詣すると、神像の全身に汗が流れていたので、いよいよそれを怪しんだが
大宋国たいそうこくの北から東の大山脈をさかいとして、その彼方の蕃地ばんちにはりょう韃靼だったんのわかれで契丹きったんともよぶ)という大国がある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遼陽の城外に東京陵トンキンりょうという古陵がある。昔ここに都していたりょう契丹きったん)代の陵墓で、周囲には古木がおいしげって、野草のあいだには石馬や石羊の横たわっているのが見いだされる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)