夭折わかじに)” の例文
その老母は、彼の弟徐康じょこうの家におりましたが、その弟も、近ごろ夭折わかじにしたので、朝夕親しく老母に孝養する者がいないわけです。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはお前さんがわしを知らないから、そう云うのだ、私は三代前からの邸にいるよ、彼の邸は何時も病人だらけで、先代二人は夭折わかじにしている、おまえさんは譜代でないから
貧乏神物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
(まあ、それに額の立派なところ迄よく似ているわ——肩幅は少し広すぎるけれど……でも、お父さんは夭折わかじになすったのだから、こんなに元気そうではなかったのに違いない……)
或る母の話 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
夭折わかじにしたその一粒種の子供の写真などを持ってきて、二階に寝ころんでいる道太に見せたりして、道太の家と自分の家の古い姻戚いんせき関係などにさかのぼって、懐かしい昔の追憶を繰り返していた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
夭折わかじにの方でしたか?」
誰? (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「ふうん……女が夭折わかじに血統ちすじ? ……するとつまり、何か、遺伝とやら申して、よくない病気が伝わっているものに違いない。やれやれ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この子は夭折わかじにするか知れませんよ。私何だかそんな気がする。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
……当家の系図が示すところによると、代々、不思議と女が夭折わかじにしておる。それもみんな美しく生れて、美しい盛りに血を吐いて! ……
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なるほど、それはお大切だいじなわけ。そういう御旧家であってみれば、何か、夭折わかじにをしないような、家伝の名薬があってもよいわけだが……」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人寿五十とすれば、短命とはいえないかも知れないが、孔明の場合にあっては実に夭折わかじにであったようなここちがする。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)