大騙おおかた)” の例文
「強請たあなんだ。うぬの屋敷こそ、一ツ橋家の近習番とか、なんとか、世間ていはいいが、大騙おおかたりのぬす武士だっ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大騙おおかたりじゃ。針のみぞから天を覗くようなことを言い前にして、金を集めようという、大騙りじゃ」と、中には市九郎の勧説かんぜいに、迫害を加うる者さえあった。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あの富籤は大騙おおかたりなんだよ。実は今まで俺はそれを見張っていたんだが、どんな手品を使ったか、どうしても判らなかったんだ。お品さん、お前のお蔭で解ったようなものだ。
「そんな事なんか誰にでも出来らい! 詐欺さぎ! 大騙おおかたり!」
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)