大部たいぶ)” の例文
先生はこの驚嘆の念より出立して、好奇心に移り、それからまた研究心に落ち付いて、この大部の著作を公けにするに至ったらしい。
藤枝は室にはいつて、大きな机の前に腰かけると、側にちやんとおいてあつた大部の本を私の前にさし出した。
殺人鬼 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
日本の学会に、その真価がど認められていないのは、遺憾である。が、原本はなかなか大部のものであるから、には単に要所を紹介するに止める。
ましてその閲歴は波瀾万丈、我国新女優の先駆者であり、泰西の劇団にもその名を輝かして来た、マダム貞奴を、細かに書いたらばどれほど大部の人間生活の縮図が見られるであろう。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私はその晩、とうとう徹夜をした上、翌日の昼頃までかかって、大部の記録をすっかり読み終った。半分も読まない内に、これは是非発表しなければならないと心をめた程であった。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こう云った津田は、それがこの大部の書物を残して行く正当の理由であると知りながら、あまり好い心持がしなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)