大痘痕おおあばた)” の例文
……この大痘痕おおあばたばけものの顔が一つ天井から抜出ぬけだしたとなると、可恐おそろしさのために一里ひとさと滅びようと言ったありさまなんです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道場の前を通って、下男部屋を覗くと、大痘痕おおあばたの熊吉が、庭の掃除をすませ、手焙てあぶりを股火鉢にして、これだけは贅沢ぜいたくらしい煙草をくゆらせております。
兄弟同時にした疱瘡ほうそうが、兄は軽く、弟は重く、弟は大痘痕おおあばたになって、あまつさえ右の目がつぶれた。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その夫人阿夜子あやこは、どんな時でも、夫金弥の側に、慎ましく控えて居りますが、此節の人にしては珍らしい大痘痕おおあばたの上、申分なく醜い顔の持主で、若くて天然痘を患った時
法悦クラブ (新字新仮名) / 野村胡堂(著)