大漢おおおとこ)” の例文
「もう飲めん。……おや、おれは随分、大漢おおおとこのほうだが、貴様も大きいな。背がほとんど同じぐらいだ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ笠を深くかぶった、草鞋穿わらじばきの、猟人体かりゅうどてい大漢おおおとこが、鉄砲てっぽう銃先つつさき浅葱あさぎの小旗を結えつけたのを肩にして、鉄の鎖をずらりといたのに、大熊を一頭、のさのさと曳いて出ました。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見事にこの大漢おおおとこを絞殺したのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……あの大漢おおおとこのまる顔に、口許くちもとのちょぼんとしたのを思え。の毛で胡粉ごふんいたような女のはだの、どこか、あぎとの下あたりに、黒いあざはなかったか、うつむいた島田髷しまだの影のように——
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
渠等かれらなかまの、ほとんど首領とも言うべき、熊沢という、おって大実業家となると聞いた、絵に描いた化地蔵ばけじぞうのような大漢おおおとこが、そんじょその辺のを落籍ひかしたとは表向おもてむき、得心させて、連出して
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)