大弓だいきゅう)” の例文
相模屋さがみやの若旦那新助は二十一、古い形容ですが、日本橋業平にほんばしなりひらといわれる好い男のくせに、去年あたりからすっかり、大弓だいきゅうってしまって、大久保の寮に泊り込みのまま
父は内閣を「太政官だじょうかん」大臣を「きょう」と称した頃の官吏かんり一人いちにんであった。一時いちじしきりと馬術に熱心して居られたが、それも何時しか中止になって、のち四五年、ふと大弓だいきゅうを初められた。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
おまけに道楽どうらく大弓だいきゅう浪花節なにわぶしとだって云うんじゃないの? それでもさすがに浪花節だけはい趣味じゃないと思っていたんでしょう。あたしの前じゃ浪花節のなの字も云わずにすましていたの。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
長評定ながひょうじょうこらした結果、止むを得ないから、見付出した一方口を硫黄でえぶし、田崎はうちにある鉄砲を準備し、父は大弓だいきゅうに矢をつがい、喜助は天秤棒てんびんぼう、鳶の清五郎は鳶口とびぐち、折から、すこしおくれて
(新字新仮名) / 永井荷風(著)