「ほんとでございますわ。外面如菩薩げめんによぼさつ内心如夜叉ないしんによやしやと申しますからね。きれいなやさしそうな女ほど恐ろしうございますわね。ほほほほ」
殺人鬼 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
「だつて、外面如菩薩げめんによぼさつ、内心如夜叉によやしやといふんでせう。あつしは目をつぶつて縛りましたよ」
や或るひは面體めんてい惡氣にくげに心は善良ぜんりやうるもあり或ひに面體めんてい柔和にうわにして胸中きようちう大膽不敵だいたんふてきなる者有所謂いはゆる外面如菩薩げめんによぼさつ内心ないしん如夜刄によやしやほとけも説給ひし如し然れば其面體めんてい柔和にして形容なりかたち柔和おとなしやかなる者の言事は自然と直なる樣に聞ゆれども其事は邪心じやしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
外面如菩薩げめんによぼさつ、内心如夜叉によやしやといふのですね。女の薄情なのは、恐ろしいものですね。
外面如菩薩げめんによぼさつだ。金持、親分、旗本と手玉に取つて、自分の縹緻きりやうと才智で、活き佛さまを地獄に引きり込まうとした女だ。あんな女は石の地藏さままでモノにする氣になるだらうよ」