外方そつぽ)” の例文
松子がちよつとした用事を吩咐いひつけても、いつだつて外方そつぽむいて返事もしないつて風なんです。松子は泣いてしまつたんです。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そして、それまでは並んで歩いてゐた彼は、柳の下についと私を離れ、眉を寄せて外方そつぽを見詰め口笛を吹き出した。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
それから外方そつぽを向いて、「いくらでも勝手に敬服してくれ給へ。」といつたやうな言ひ方をするのが常だつた。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
どうせろくなことではあるまい……といふ風に、孝一は外方そつぽをむいてしまつた。
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
落ちつばき外方そつぽ向きつつしべわかし落つるただちを坐りたらしも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
喇叭は悲しさうな顔をしてくるりと外方そつぽを向く。