塵劫記じんこうき)” の例文
「一万二千両から一万両引いて二千両残るか。そいつは塵劫記じんこうきにもない算盤だが、曲者同士が殺し合っているのは、そんなことではあるまいよ」
幾筋なんぞとぼかさずに、五筋なら五筋、六筋なら六筋と明確に数を挙げてもらいたい、これも当世流行の数学的というやつで、つまり、昔の塵劫記じんこうきで行くのだ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
真鍮のこの煙管さえ、その中に置いたら異彩を放ちそうな、がらくた沢山、根附ねつけ緒〆おじめたぐい。古庖丁、塵劫記じんこうきなどを取交ぜて、石炭箱を台に、雨戸をよこたえ、赤毛布あかげっとを敷いて並べてある。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吉田光由の『塵劫記じんこうき』は『統宗』に基づいて著作したといわれている。
「考えたってわかりゃしませんわ、塵劫記じんこうきとはちがうんですもの、土地の人に聞いてみなければ」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お雪は、まだ解ききれない塵劫記じんこうきの宿題でも残っている心。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)