堂島どうじま)” の例文
彼は細かい十露盤そろばんたまをせせっているのをもどかしく思って、堂島どうじまの米あきないに濡れ手で粟の大博奕おおばくちを試みると、その目算はがらりと狂って
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
堂島どうじまへ出て、米商こめあきないをしていましたが、それも、相場に焦心あせって、資本もとも子も失くしたうえ、あの重病でございますから、これから先は、私が、芸妓にでもなって一心に
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ソレカラ始終しじゅう道を聞くには、幼少の時から中津の倉屋敷は大阪堂島どうじま玉江橋たまえばしうことをしってるから、ただ大阪の玉江橋へはどう行くかとばかり尋ねて、ヤット夜十時過ぎでもあろう
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「それにわしは塩田と約束して、これから堂島どうじまの法曹クラブに訪ねてゆくことになっとる。心配な奴は、儂について来い。しかし邪魔にならぬようについて来ないと、遠慮なく呶鳴りつけるぞ」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
などといって、なみだをながさんばかりに、よろこんでくれるひともいました。諭吉ゆきちのおもりをしてくれた武八ぶはちじいさんは、自分じぶんのまごがきたようなよろこびかたで、堂島どうじまのあたりをあるきながら
中津なかつのとのさまは、大阪おおさか堂島どうじまにくらやしきをかまえていました。