堂上人どうじょうびと)” の例文
……はて、堂上人どうじょうびとのくせに、父王昇がちまた零落れいらくしていた時代の姿を知っているのはいぶかしいと……拙者もじっと彼の面体めんていを見てやりました
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、そのときですらなお和歌と俳句とをくらべますと堂上人どうじょうびとと町人のような区別があって和歌は優にやさしきもの、俳句は下卑げびいやしきものとそう考えておりました。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
公卿方堂上人どうじょうびと上達部かんだちめ、いずれその日の生活たつきにも困り、縁をたよって九州方面の、大名豪族の領地へ参り、生活くらしするようになりまして、わが洞院信隆卿にも、過ぐる年周防すおうの大内家へ
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
裸にしても堂上人どうじょうびとらしく白皙はくせきの美男であるから、実際の年はもっとよけいかも分らない。眉は濃く、唇はあかく、才気煥発なところがひとみに出ている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何もこれという用事もなくその日その日を徒衣徒食し恋をさえ遊戯視していた平安朝時代の堂上人どうじょうびとなどの中に好んで和歌にも読みこまれるようになったのであります。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
よほど貴顕きけん堂上人どうじょうびとでも見えられるのであろうと、誰もが想像していたふうであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)