均齊きんせい)” の例文
新字:均斉
葉子の郷里から上京して来たお八重は顔容かおかたちもよく調ととのって、ふくよかな肉体もほどよく均齊きんせいの取れた、まだ十八の素朴そぼくな娘だったので
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
秋本は貴族的な立派な風貌ふうぼうの持主で、葉子の郷里の人が大抵そうであるように、骨格に均齊きんせいがあり手足が若いすぎのようにすらりとしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あの白皙はくせき人型の越後系のがっしりした、均齊きんせいのよく取れた骨格で、性格にも恪勤かっきんとか忍耐とか、どんな困難に遭遇してもたわまない強靱きょうじんさがあり
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
やがて小夜子はき口の方に立って、髪をすいた。なだらかながた均齊きんせいの取れた手や足、その片膝かたひざを立てかけて、髪を束ねている図が、春信はるのぶの描く美人の型そのままだと思われた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼女は華車きゃしゃづくりで上背うわぜいもあり、後ろ姿のすっきりした女だったが、目が細く鼻も小さい割に口の大きい、あまり均齊きんせいの取れない長面ながおもてで、感じの好い方ではなく、芸もいくらか下地はあったが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)