圧倒あっとう)” の例文
旧字:壓倒
塾生たちは、しかし、研究会でのかれの雄弁ゆうべん圧倒あっとうされて以来、議論がめんどうになって来ると、とかくかれの意見を求めたがった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ぼくは内田さんのセックス圧倒あっとうされて居たたまれない気持で、早々にノオトを渡し、とびらを開けて出るのとほとんど同時でした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
昔は紫の色はみな紫根しこんめた。これがすなわち、いわゆる紫根染しこんぞめである。今はアニリン染料せんりょう圧倒あっとうせられて、紫根染しこんぞめを見ることはきわめてまれとなっている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
実は、室に入って孔子のすがたを見、その最初の一言を聞いた時、直ちに雞豚けいとん場違ばちがいであることを感じ、おのれと余りにも懸絶けんぜつした相手の大きさに圧倒あっとうされていたのである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
いつになくおしゃべりなぼくをあきれてみつめ(大坂ダイハンが、エヘ)とさも軽蔑けいべつしたような表情をするのでしたが、その夜は、明らかに教養でみんなを圧倒あっとうしたていなのも嬉しく、なおも図にのって
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)