商売人くろうと)” の例文
旧字:商賣人
商売人くろうとあがりのその友達は、お銀がもと金助町にいたころ、親しく近所交際づきあいをしたことのある女であったが、このごろやり出したその良人はかなり派手な生活をしていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
これは商売人くろうと懐賽ふところざいってやつで、駈出しには持てません、さて早速ながら本文に移りますが、バクチというやつも、その種類を数え立てると千差万別、際限はねえんですが、まず丁半ちょうはん
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
言うまでもなく商売人くろうとだけれど、芸妓げいしゃだか、遊女おいらんだか——それは今において分らない——何しろ、宗吉には三ツ四ツ、もっとかと思う年紀上の綺麗な姉さん、婀娜あだなお千さんだったのである。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
田舎へかせぎにいっている兄の傍には、暫く係合かかりあっていた商売人くろうとあがりの女が未だに附絡つきまとっていたり、あによめが三つになる子供と一緒に、東京にあるその実家へ引取られていたりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「さすが、商売人くろうと。——あれに笛は吹くまいよ、何と唄うえ。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつも高い相場のついていた商売人くろうとあがりの彼女が、自分に背負しょいきれるはずもないこともわかっていながら、何かそういったものを頭脳あたまのなかに描いていないことには、葉子が遠く飛び去った時の
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)