商人衆あきんどしゅう)” の例文
「昔は阿波のお国へも、商人衆あきんどしゅう遍路へんろの者が、自由に往来ゆききしたそうでございますが、いつからそんな不便なことになったのでしょう」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二階の部屋々々は、時ならず商人衆あきんどしゅう出入ではいりがあるからと、望むところの下座敷、おも屋から、土間を長々と板を渡って離れ座敷のような十畳へ導かれたのであった。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
十一年目は丁度明和八年で、其の年の七月の盆は御案内の通りお商人衆あきんどしゅうは掛け𢌞りなどお忙がしいものでございますが、段々月末に相成りますると大概用も片付きました。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「えへへ。御笑談ごじょうだんで……。御縁がありましたらどうぞ。——あのもスもス! 商人衆あきんどしゅう!」
……お師匠さんにゃアかなわないが、年は若いし女芸人、一人ぐらい出来ないものかしら? 取り持ってくださいよ、ネーお師匠さん。お侍さんでも結構だし、商人衆あきんどしゅうだってようござんす。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「おう、ゆうべふもとでお泊ンなすった商人衆あきんどしゅうでございますね。まあ、聞いておくんなさい。しゃくにさわるのなんのって」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
婆「旅人ばかりじゃがんせん、商人衆あきんどしゅうも泊りやすそうでがんすから、泊めましょう」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)