和楽わらく)” の例文
どうかして筑前守様が一日もはやくあるべき所にその位置を得られて、諸氏に和楽わらくのよろこびをけ与えて下さるような日が来ればよい。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その辺は一体に勤人の住宅が多かつたので、何処の家でもつゝましげな和楽わらくの声がしてゐるやうに思へた。ピアノの音なども何となく彼女の胸を唆つた。
復讐 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
当時の時代思潮は何かといえば、つまり平和を愛し一身の安穏あんのん和楽わらくをもとめるようになったということだ。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
仮に先生が其趣味主張を一切胸にたたんで、所謂家庭の和楽わらくの犠牲となって一個の好々翁こうこうおうとして穏にヤスナヤ、ポリヤナに瞑目めいもくされたとして、先生は果してトルストイたり得たでしょう乎。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
来らざるものは和楽わらくの扇にさしまねく風をいとうて、寒き雪空におもむ鳧雁ふがんるいである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何となく和楽わらくの満足を示すようなものが見える。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
和楽わらくする一味いちみの人。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「小春」とか「和楽わらく」とかのになりそう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)