和名鈔わみょうしょう)” の例文
和名鈔わみょうしょうには「 和名加之良乃加波長わみょうかしらのかはら 脳蓋也のうがいなり」とあるそうで「カハラ」は頭の事である。ギリシアやマレイとほとんど同一である。
言葉の不思議 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかし『和名鈔わみょうしょう』すなわち『倭名類聚鈔わみょうるいじゅしょう』には女陰は玉門ツヒとしてあるが、ただし玉茎の条下の𨳯の字の注に、「以開字為女陰」と書いている。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
睩、此云麻用弭枳マヨビキ。古事記中巻、応神天皇御製歌に、麻用賀岐許邇加岐多礼マヨカキコニカキタレ和名鈔わみょうしょう容飾具に、黛、和名万由須美マユスミ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
昔もそういう例がたくさんあったのである。たとえば『和名鈔わみょうしょう』の郷名を見ても建部たけべとか壬生みぶとかその地に土着した人の姓をもって郷の名にしている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし舟は曳舟には限らぬので、『和名鈔わみょうしょう』には釈名しゃくめいの「艇小而深者曰舼ていしょうにしてふかきものをきょうという」とあるきょうの字をたかせに当ててある。
高瀬舟縁起 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「すがの荒野」を地名とすると、和名鈔わみょうしょうの筑摩郡苧賀ソガ郷で、あずさ川と楢井ならい川との間の曠野こうやだとする説(地名辞書)が有力だが、他にも説があって一定しない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
モチの米という名はすでに『和名鈔わみょうしょう』にも見え、モチという言葉は鳥黐とりもちも同じに、粘ることを意味したようだが、それだからとて今と同じ餅が、古くからあったとはかぎらない。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「岫」は和名鈔わみょうしょうに山穴似袖云々といっているが、小山にほらなどがあって雉子の住む処を聯想せしめる。雉が飛立つので、「立ち別れ」に続く序詞とした。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)