和助わすけ)” の例文
そこで、その子には和助わすけという名をつけて、じぶんの子にしました。そして、一ぱいきげんのときにはいつもでも
和太郎さんと牛 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「お舟のところに居候している和助わすけ——従兄いとことか何とかいう、不景気な野郎を親分は知りませんか」
向う側はそこだけ横に黒い砂ずりになっているから、こちらで燈でもつけない限りまったくわからない。和助わすけはその紗へ顔を押しつけるような姿勢で、風呂場の中をじっと見まもった。
追いついた夢 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もっとも、この訪問は彼女一人ひとりでもない。彼女と半蔵との間には前年の二月に四男の和助わすけが生まれて、その幼いものと下女のお徳とを連れていた。馬籠から奥筋へと続く木曾街道はお民らの目にある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二番番頭の和助わすけは三十二三のい男、少し臆病で柔和すぎるきらいはありますが、したたか者の又左衛門とは案外馬が合って、佐兵衛をそっちのけに、相談相手にもなり
「番頭の和助わすけり横っ面へ叩きつけて、思いっ切り啖呵たんかを切ったぜ。——仏から借りた一両二分の借金に、鼻糞はなくそほどだが香奠まで添えて持って来た八五郎だ、見損なやがったか——って」