名張なばり)” の例文
と翁もいはれしとほり、かねて假りの住居の望みなる吉野も程遠からねばそれより大和街道を志て名張なばりに向ふ。
伊賀、伊勢路 (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
四 伊賀いが名張なばりなど三郡。南伊勢の鈴鹿すずか河曲かわわ一志いちし飯高いいだか飯野いいの多気たけ度会わたらいなどの七郡。——それに尾張犬山城と、河田かわだとりでとは、秀吉へゆずること。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わが背子は何処ゆくらむ沖つ名張なばりの山をけふか越ゆらむ」(巻一・四三)という「らむ」の使いざまとも違うし、結句に、「吾を待つらむぞ」と云っても
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「当今、伊賀の名張なばり下石おろしというのがある、これに宝蔵院流正統が伝わっているという話じゃ、愚僧わしは詳しいことは知らぬ、それにまた、術の妙を得た人には、この近いところ——」
吾背子わがせこはいづくくらむおき名張なばりやま今日けふゆらむ 〔巻一・四三〕 当麻麿の妻
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
と、名張なばり街道に沿う小馬田こまた服部家はっとりけの門に姿を見せている。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)