合鍵あいかぎ)” の例文
人形は、宝石のちん列だなにかぶせてある、白いきれをまくると、ポケットから、合鍵あいかぎをとりだして、あついガラスの戸をあけました。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
私は正面のポーチを上り、合鍵あいかぎで扉をあけ、アトリエを横ぎり、彼女の部屋を調べるために屋根裏へ昇って行きました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼はチョッキの中を探って、一種の合鍵あいかぎを取り出し、戸口を開き、中にはいり、それから注意して戸口をしめ、コゼットを負ったまま階段を上って行った。
(つかん事を聞きますけれど、鋳掛屋さん、錠の合鍵あいかぎを頼まれて下さいますか。)……と姉さんがね。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もしそこにだれもいなかったとすれば合鍵あいかぎを使って、四階の窓から投げ落とせないこともないのです
五階の窓:03 合作の三 (新字新仮名) / 森下雨村(著)
「船艙の鍵は、僕が責任を持って預っているんです。それ以外に合鍵あいかぎを持っているやつがあるとすれば、万一の場合僕の責任になります、とにかく一応船艙を調べて見ましょう」
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
帯の間から取り出した合鍵あいかぎをもって、一心に其処をけようとする様子。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも決して動物自身が檻を破ったわけではなくて、何物かが合鍵あいかぎを手に入れて、檻のとびらをひらいた形跡があるというのだ。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
締まりのしてある玄関の扉を合鍵あいかぎで開け、中へ這入はいると私はぐにアトリエの電気をつけました。見ると、部屋は相変らず取り散らかしてありますけれど、矢張客の来たような形跡はありません。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
新吉は合鍵あいかぎを探して、そのつづらの一個へ手をかけた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これお小遣、今夜はどこかに泊ってね。それから、これ、この部屋の合鍵あいかぎ。入口でことわらなくてもいいのよ。だまって二階にあがって、このドアを
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ガチャリと、ふところから合鍵あいかぎの音をさせる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「家主はそう断言している。しかし、こんな借家のドアの合鍵あいかぎを造る位、造作はないですからね。それから正岡君、もっと確かなものがあるんだ。犯人の足跡らしいものがね」
東儀とうぎ、牢の合鍵あいかぎを持って、先に」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくらたたいても返事がない。合鍵あいかぎというものが作ってないので、そとへまわって、ガラス窓からのぞいてみると、主人があおむけに倒れて、口から血が流れていたというのです。
妻に失恋した男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それともこの殺人犯人は用意周到にも、あらかじめ土蔵の合鍵あいかぎを用意していたのであろうか。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
合鍵あいかぎは他にないですか」
火縄銃 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)