収賄しゅうわい)” の例文
収賄しゅうわいは、刑吏のつねで、その方こそ正しい実収入みいりだとして、悪徳とは考えもせぬ彼らだが、こんな人なかで、白昼、めんといわれては、いくら彼らでも立つ瀬はない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近年官吏の収賄しゅうわいをなして捕縛せらるるもの数うるにいとまあらず。むしろ国法を改正して収賄を罪せざるに如かざるものの如し。道徳は時代と共に変遷するものなり。国の法令亦改めて可ならずや。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
国民の子弟を教育すべき教科書事件の騒動を考えてみ給え。いかに文章辞句が巧妙でも収賄しゅうわい詐欺さぎ不徳無道の人の手に成ったものや検定されたものがどうして健全なる国民を教育し得るだろう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
成上がり者ながら、とにもかくにも千石という大禄をんでいるのです。役がまたお小納戸頭おなんどがしらという袖の下勝手次第、収賄しゅうわい御免の儲け役であるだけに、何から何までがこれみよがしの贅沢ぶりでした。
日本の政治家は腐敗して居るとか、官吏が収賄しゅうわいして居るとか、議員が買収せられたとか、華族が役にたたんとか、とにかく上流社会に向つてはいくらの非難があるとしても、下等社会がことごとく慥である。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そこで町人をおどしては、収賄しゅうわいをして生活くらしていた。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)