厳科げんか)” の例文
野人やじん、礼をしらず、剣を帯して、殿に昇り、なお、甲胄かっちゅうの兵を、院庭に忍ばせておくなど、言語道断であります。よろしく、典刑てんけいを正し、厳科げんかに処すべきものでしょう』
わしが領主であっても、断乎だんことして、彼を厳科げんかしょし、四民の見せしめに、八ツ裂きにせずにはおかない。彼に、地をくぐすべがあれば、草の根を掻きわけても、引ッ捕えて磔刑はりつけにかける。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小松谷の小御堂こみどうには夜もすがら念仏の声があがっていた、念仏をおくびにいっても、厳科げんかに処すという禁令が出て以来、官の取締り方も民衆の自戒も、針のような神経質になっている折なのに。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時に、峻烈しゅんれつ無情にも似る厳科げんかの断刀もまた下さねばなるまい。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)