バル)” の例文
確かまだ武者小路氏の「新しき村」が開かれない時分で、あの辺になつてゐたのだなと、後に思ひ合せた茶臼バルの曠野をも横ぎつた。
山の音を聴きながら (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
あの海に向つた長者バルを、すこし節がゝつた言ひ廻しで、思ひ出し/\「八島」を語り乍ら歩いて行かれた俤が、今もかうしてゐると、目の前に出て来る。
「八島」語りの研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
長者バルと言ふ海を受けた高台は、があたろを使うて長者になつた人の屋敷趾だと言ふ。其は小さな、髪ふり乱した子どもの姿だつた。其が来初めてから、俄かに長者になり、家蔵は段々建て増した。
河童の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)