山の音を聴きながらやまのおとをききながら
ようべは初めて、澄んだ空を見た。宇都宮辺と思はれる空高く、頻りに稲光りがする。もう十分秋になつて居るのに、虫一疋鳴かない。小山の上の大きな石に腰をおろして居ると、冷さが、身に沁みて来るやうだ。物音一つしない山の中に、幽かに断え間なく響いて居 …