原頭げんとう)” の例文
さうだ、今自分の立つて居る處は、慥かに『原頭げんとう』である。自分はまだ、一分も、一厘も、此大問題の解決に歩を進めて居らぬのだ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
野崎の原頭げんとう、四条畷には群像の如き三十余騎の姿が、敵軍に遠く囲まれながら茫然として立ちすくんで居る。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼等は、毒瓦斯どくガスたちこめる原頭げんとうに立って、いささかもひるむところなく、例の大きな機械の組立を急いだ。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
晩秋の夕陽ゆうひを浴びつつ高田の馬場なる黄葉こうようの林に彷徨さまよい、あるいは晴れたる冬の朝青山の原頭げんとうに雪の富士を望むが如きは、これ皆俗中の俗たる陸軍の賜物たまものではないか。
又断つて置く、自分は既に此事件を以てみづから出会した事件中の最大事件と信じ、其為に二十幾年来養ひ来つた全思想を根底から揺崩された。そして、今新らしい心的生涯の原頭げんとうに立つた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)